ディーゼルカーの思い出
3.キハ58形
駅隣接のお店でとりめしを調達、もう入線している快速列車「八幡平」に乗り込む。国鉄急行形であるキハ58形の4両編成、すべてがパノラミックウィンドゥ車でした。前二両がおでこを赤く塗った「赤鬼」と呼ばれる色、後ろ二両は白地に赤ラインの色使い。これが二両編成同士で二セット、あたま(=運転台)とあたまをくっつけて連結されています。冷房は準備工事がされつつも結局付かなかったグループで、天井には扇風機が付いています。室内が一部ロングシートになっているクルマより、全てがクロスシート(4人用向かい掛けの連続)になっているうしろの方の車両に乗車。 ホームを発車した列車は奥羽本線の本線をぐにゃぐにゃと渡ってそれから立体交差で左カーブを描いて今わたった奥羽本線のレールを越えて山中に入っていきます。バネのふわふわした台車、「スタタタン、タタン」と永遠に続く軽やかなジョイント音、たまに床下でうなりをあげるディーゼルエンジン。なつかしいひびきです。しばらくは市内や畑の間を走ります。お客さんは一両に数人です。扇風機よりも生の風に当たりたいと窓を開ける。いつのまにか日射しがまぶしくなってきました。急カーブが多くてそのたびに窓から自分の前の車両が見えます。それが楽しくてずいぶんこのカットで撮影しました。
いくつかの駅を越えると十和田南という駅に出ます。二面あるホームは行き止まり、この先は進行方向を変えて進む、いわゆるスイッチバック方式の駅です。ここで行き違い列車を待ちます。やってきたのは一般型(=普通列車用)キハ52形を先頭にした3両編成。キハ52にも乗ってみたかったなあ。 鹿角(かづの)、前に同じ職場にいた方がここの出身だと言っていたっけ。市内を抜けると川に沿ってどんどん上がって行きます。川面からの高さも増し、最後は渓谷になります。湯瀬渓谷という名前だそうです。秋に来たら綺麗でしょう。その先、県境までに最高33.3パーミルの急勾配の勾配票をみました。線路の側に立っている白い標識で、映画のカチンコみたいに開いてるのが勾配票(千分率で示された数字が勾配の強さです)。分水嶺を越えて岩手県へ。それでもこの列車はまた山越えをしなければなりません。周りは杉の木、私の住む北海道にはない光景です。S字の坂が続く難所をエンジンの音も高らかに登って降りたところで、かの有名な安比高原(=APPIという横文字の方がピンと来る人もおおいのではないでしょうか)に出ました。駅弁を食べるのも忘れて楽しんでいました。ここから先はあっという間に東北線の好摩(こうま)に到着。若干の待ち合わせをしたあと東北本線に入って一路盛岡を目指します。
最近の鉄道雑誌で、北海道内に残るキハ58系列の車両、キハ56形はそろそろ引退かとありました。いまいちど乗っておきたいなあと思っていましたが無理かと思っていた矢先、こんなにも元気な姿で走っているキハ58形に乗ることができて、私にとっては、この旅のハイライトになりました。('00.7.4)
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